古代ローマ、特にポンペイでは売春は主要産業の一つであった。
この町は火山の噴火によって地中に埋もれてしまい、後の発掘作業によって当時の町の様子がそのまま現在に残されていることで有名だ。
そこからは売春宿や如何わしい遺物が多数発掘され、当時その町で性産業がいかに活気づいていたかを物語っている。
特に売春宿や宿屋に残る壁画には当時の情事の様子が克明に描かれており、現在もポンペイを訪れた観光客にとって目玉の一つとなっている。
(画像)ポンペイのフレスコ壁画
(画像)ポンペイのフレスコ壁画
(画像)ポンペイのフレスコ壁画
これらの扇情的な壁画は、客の情欲を煽るためのものであったと考えられる。
あるいは、ある種の案内書として使用されていたのかもしれない。
言葉の通じない異国の者であったとしても、この壁画を見ればここで何をするかは理解できただろう。
売春宿の個室はベッドひとつがちょうど入る程度の広さで、窓も無くまるで独房のような空間のものが多かったという。
またドアのない部屋が多かったため、おそらく部屋はカーテンなどで仕切られていたと考えられる。
(画像)売春宿の個室
ポンペイで発掘された様々な遺跡や遺物から、古代ローマでは性に対して非常に寛容であったことが窺える。
しかし、売春に対するネガティブなイメージが一切なかったわけではなさそうだ。
それを示す以下の様な逸話がある。
ローマの歴史家カッシウス・ディオの記録によれば、ある一人の若い男が、時の皇帝カラカラ帝が描かれたコインを売春宿に支払った。
このことが密告されると、その男は皇帝を侮辱した罪で投獄され死刑判決が下される。
しかし、死刑が執行される前にカラカラ帝が暗殺されたため、その男は釈放され命拾いしたという。
売春宿ではスピントリアと呼ばれる男女の性行為が描写されたコインが使用されていたという説がある。
しかし、この説には否定的な意見も多く、単なる遊戯用のコインだった等とする見方も強い。
(画像)スピントリア。売春宿で使用されていたとする説があるが真相は不明。
コメント
アメリカの鑑定番組「ポーンスターズ」にこれが持ち込まれたとき、鑑定士のデヴィッド・ヴァギは、ローマ時代の売春宿のトークンと言っていました。