【世界最古のポルノ?】石器時代に作られたヴィーナス小像とは

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いつの時代でも、女性の肢体というのはある種の普遍的な魅力があるようだ。
石器時代にヨーロッパを中心に発掘されたヴィーナス小像からもそれは窺える。
ヴィーナス小像とは、女性をかたどった彫像のことであり、その材質は石灰石、セラミック、マンモスの牙等様々である。
それらの多くは豊満でふくよかな体型が特徴的で、豊穣や多産の象徴だったのではないかと考えられる。
その用途については、宗教儀式や祭祀で用いられる神具であった、性的興奮を起こさせることを目的とした性具であった等の説があるが、これらが作られた時代が先史であったため文字などの記録が残っておらず、どのような目的で使用されていたのか詳しいことは不明である。
今回はそんなヴィーナス小像のうち、代表的なものを五つ紹介する。

ヴィレンドルフのヴィーナス

Credit:wikipedia

ヴィレンドルフのヴィーナスは1908年にオーストリアのヴィレンドルフ近くの旧石器時代の遺跡で発見され、現在はウィーン自然史博物館が所有している。
その材質はウーライトで全長は11cm、約2万8千年から2万5千年前に作られたものと推定される。
余談だが、2017年にこの彫像を廻ってネット上でとある事件が発生した。
イタリアの芸術家ラウラ・ギアンダ氏がヴィレンドルフのヴィーナスの画像をFacebook上に投稿したところ、その画像が運営に「ポルノ」とみなされて削除されてしまったのだ。
ギアンダ氏や、この像を所有するウィーン自然史博物館がFacebookの対応に抗議すると、Facebook側は削除したことは間違いであったと認め謝罪した。

ドルニ・ベストーニスのヴィーナス

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ドルニ・ベストーニスのヴィーナス(ドルニ・ベストニツェのヴィーナスとも表記)はチェコの旧石器時代の遺跡ドルニ・ヴェストニツェで発見され、現在はモラビア博物館が所有している。
その材質はセラミックで全長は11.1cm、約2万9千年から約2万5千年前に作られたものと推定される。
2004年に行われた断層撮影による調査の結果、その表面に7歳から15歳とみられる年齢の子供の指紋が残されていることが分かった。
しかし、その指紋の持ち主がこの像の作者であるかどうかは不明である。

ローセルのヴィーナス

Credit:wikipedia

ローセルのヴィーナスは1911年にフランスのドルドーニュ県で発見され、現在はアキテーヌ博物館が所有している。
その材質は石灰岩で全長は46cm、約2万5千年前に作られたものと推定される。
右手にはホーンを持っており、ホーンには13本の刻み目がつけられている。
その刻み目は、月の満ち欠けの周期、あるいは1年間の月経の周期を表しているのではないかという説がある。

ホーレ・フェルスのヴィーナス

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ホーレ・フェルスのヴィーナスは2008年にドイツのシェルクリンゲン近郊で発見され、ブラウボイレン先史博物館が所有している。
その材質はマンモスの牙で全長は6cm、約4万年から3万5千年前に作られたものと推定され、人間を描写した美術品としては最古のものである。
この像はオーリニャック文化でつくられ、モデルとなっているのは恐らくクロマニヨン人であると考えられる。

縄文のヴィーナス

Credit:wikipedia

最後に日本のヴィーナス像も紹介しておく。
縄文のヴィーナスは1986年に長野県茅野市米沢の棚畑遺跡で発見され、現在は茅野市尖石縄文考古館が所有している。
その材質は粘土で全長は27cm、今から約5千年前の縄文時代中期に作られたものと推定される。
縄文のヴィーナスは1995年に「土偶」の名称で国宝に指定された。

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