アイルランドにある幽霊が彷徨う呪われた邸宅ロフタス・ホールについて

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アイルランドの都市ウェックスフォードにある海沿いの邸宅ロフタス・ホールは、古くから幽霊が出没すると噂され、地元民に恐れられている。
このジョージアン様式の豪華な邸宅が建てられたのは1350年のことで、その後何度か大規模な改修が行われ現在に至る。

Credit:Loftus Hall

(画像)ロフタス・ホールの外観

Credit:Loftus Hall

(画像)ロフタス・ホールの外観

幽霊が出没すると噂されるきっかけとなった事件が起こったのは1775年のことであった。
ある日の夜、嵐が吹き荒れ雷が打ち鳴らされる荒れた天気の中、玄関のドアをノックする一人の男がいた。
しかしこの邸宅に住む一家はそれをさほど不審には思わなかった。
なぜならこの邸宅が建てられていた海岸線は、荒天の際の避難場所としてしばしば船員たちに利用されていたからである。
一家はこの男に軒先でしばらくの間雨宿りをさせてやることにした。
徐々に男と一家は親しくなり、家にあがってカードゲームに興じるような間柄になった。
カードゲームの最中、この一家の娘アンが床に落ちた指輪(カードだという出典もある)を拾おうと身をかがめると、その男の足がふと目に入った。
その足は人間のものではなく、牛の蹄のような形であったという。
アンが恐怖のあまり叫び声をあげると、その男は悪魔へと姿を変え、空に飛び上がって天井を突き破り逃げて行った。
それと同時に一筋の雷鳴が轟き、空は雲で覆われたという。
それ以来アンは正気を失い、タペストリーで飾られた部屋に閉じ込められ、すぐに亡くなってしまったそうだ。
その後この邸宅には彼女の幽霊が彷徨っているという噂が立つようになった。

Credit:Loftus Hall

(画像)ロフタス・ホールの室内。この様なテーブルでカードゲームに興じていたのだろうか

Credit:Loftus Hall

(画像)アンが閉じ込められていたとされる部屋

しかし、この邸宅にまつわる不吉な出来事はこの一件だけに留まらない。
元々この邸宅があった土地には、レイモンド・ル・グロスというノルマン人の騎士の城が建てられていた。
その後1350年に、彼の子孫がその城を現在の建物に建て替えた。
1650年代にイングランドの指導者オリバー・クロムウェルがアイルランドを征服した際、この邸宅はイングランドに奪われ、裕福なロフタス家の手に渡った。
それ以降この邸宅はロフタス・ホールと呼ばれることになる。
1860年から1870年代にかけて大規模な改修が行われると、タペストリーで飾られた部屋の壁の中から幼児の遺体が発見された。
この幼児の遺体は、アンの子供ではないかと主張する者もいる。
その父親は、例の不吉な訪問者であったのかもしれない。そして、この名家に起きたスキャンダラスな事実を隠蔽するために、先述の怪談話がでっち上げられたのではないかという説も存在する。

Credit:Loftus Hall

その後、改修に莫大な費用がかかったことと、ロフタス家の血統が途絶えたことから、この邸宅は売りに出されることとなった。
そして1917年に修道女の手に渡り、それから幾度かの所有者の変遷を経て現在に至る。
その間何度か改修工事が行われたが、いくら改修をしてもこの邸宅を覆う不吉な空気を消し去ることは出来なかったそうだ。
所有者の一人はこの邸宅についてこう語る。
「ロフタス・ホールにいる間は、いつも誰かがそこにいる感覚に襲われる」

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